ラムスの「良いデザイン10カ条」から想いをはせて

標準

Gizmodoで「良いデザイン10カ条」という記事がありました。

これは今はもう引退しているそうですが、あのブラウン社のインダストリーデザイナのディーター ラムスさんが掲げていたもので、奥の深い、なるほどと思わせるものです。

  1. 良いデザインは革新的である
  2. 良いデザインは製品を実用的にする
  3. 良いデザインは美的である
  4. 良いデザインは製品を理解しやすくしてくれる
  5. 良いデザインは出しゃばらない
  6. 良いデザインは誠実である
  7. 良いデザインは恒久的である
  8. 良いデザインは細部にいたるまで必然性がある
  9. 良いデザインは環境にやさしい
  10. 良いデザインは最低限のものである

どうですか。

原文はこれです。

Ten principles for good design

• Good design is innovative.
• Good design makes a product useful.
• Good design is aesthetic.
• Good design helps us to understand a product.
• Good design is unobtrusive.
• Good design is honest.
• Good design is durable.
• Good design is consequent to the last detail.
• Good design is concerned with the environment.
• Good design is as little design as possible.

私はソフトウェア業界に身を置いていますが、ハードウェアのみならず、ソフトウェアやシステムもこういったものも基準としてデザインしなければなと思いました。

ソフトウェアは機能や品質は「犠牲に出来ないもの」として重要に取り扱われますが、上記の10カ条のような事は、悪く言うと「余裕があったら」だったり、「差別化するために」だったりという扱いで、口では重要だと言っても、本質的にはあまり重要な要素とは考えられていないように思います。その半面アップルは美しさや使いやすさは「品質の一部」ととらえられていて、画面の背景の色がちょっと薄すぎるとか、ボタンの大きさが1ミリ小さすぎるとかいう問題もソフトウェアがハングしていしまうといったバグと同じレベルで出荷判断の要素となっているというのを聞いたことがあります。

ソフトウェア業界の成熟度合いがまだ低いということも起因しているとは思いますが、企業文化として経営者から担当者まで「大事なこと」の一つだというようにならなければ変わらないと思います。

私は趣味でヨットをやっているのですが、ヨットというのも外洋に出てまわりに修理工場やコンビニなど無いところで生存出来るように設計されており、その備わっている機能を見てみると10カ条があてはまるなと思いました。

どれも「なるほど」ですが、私が特に気に入っている項目は2,4,8,10です。

ちなみに、Gizmodoでは今大反響を呼んでいるipadをこの10カ条にあてはめてテストしていますのでそちらも見てみてください。ipadの良さというより10カ条をどう考えるかが解りやすくなると思います。

話は少し飛びますが、わたしは10年以上前にオーストラリアで電子政府のシステムの仕事をしていたことがあります。政府の住民に対するサービスをインターネットやKIOSKという公共の場所にある情報端末(ATMみたいな恰好をしたタッチスクリーンの装置です)、あるいは電話で処理するというものですが、公共料金の支払い、住所変更届、戸籍謄本の購入、運転免許の更新など多くの種類のトランザクションを扱います。いわゆるGtoCですから、多くの市民(納税者)が使えるものでなければならないのですが、ご存じのとおりオーストラリアは移民の国ですから必ずしも全員が英語が解るという事を前提には出来ません。完成したシステムを政府が受け入れるにあたり「フォーカスグループ」といういろいろな種類の人に操作してもらって使えるかどうかのテストをしたりします。英語の解らない人、車椅子で高いところに手が届かない人、色弱の人、老人、デジタルデバイドなど多種多様なフォーカスグループでテストされます。

それ以外に、イギリスから「ユーザビリティー」の権威を呼んで(オーストラリアはコモンウェルスなのですぐにイギリスをあてにします)、システムの検証を行うというプロセスがありました。これがびっくりしたのですが、何と、その権威の方は全盲なのです。我々はそんなことは全く知らされておらず、魅力的なプレゼン資料を用意し、センセーショナルなデモソフトを用意したのですが、全く意味が無く、何をしてよいか分からなくなりました。「大変失礼ですが、画面の使いやすさなど、どうやって説明すれば良いのでしょうか」と聞いたところ「言葉で説明してください」と言われ、しどろもどろでやったのを覚えています。

しかし、この全盲の女性は、イギリスではユーザビリティーの第一人者で、女王様から「レディー」の称号をいただいている方だったそうです。全く画面が見えていないのに、OKボタンとキャンセルボタンの位置のまずさ、フォントの種類の多さ、配色のまずさなど的確に指摘されてびっくりしたのを覚えています。

後で政府の方に聞いたら、イギリスではユーザビリティーの分野の学問が確立されていて、彼女はその分野の権威だということでした。

日本ではまだまだデザイン工学などこういった分野というのは特殊なものという感じですが、さすがイギリスはすすんでいるんだなと感じました。

ディーター ラムスさんの10カ条からいろいろと想いを馳せてみました。

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