カテゴリー別アーカイブ: オピニオン

3D映像に関しては私も意見がある

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3D画像がこれからの主流だと言う。

確かにモノクロからカラーになったくらいの大きな変化だと思う。

新製品オタクを自称する私としても、富士フィルムの3Dカメラは発売と同時に8インチくらいのフォトフレーム型ビューアとセットで購入した。

もちろん3D映画だって見に行った。

富士フィルムのメガネがいらない3Dデジカメは確かにスゴイ。

ちょっと被写体の取り方に3Dらしさが出るように構図を取る工夫が必要だけど、りっぱに裸眼で立体的に見える。

映画もちゃんと立体的に見える。

でも私の結論はiMaxシアターしか無いと思う。

別にiで始まってマックっぽい名前だからというわけではない。

最近多いシネコンは少人数で比較的小さいスクリーンで映画を見る。

映画館の映像も富士フィルムのビューアやプリントした写真も確かに3Dで見えるけど何か物足りない。

わかった事は二つ

1. 自分の視野角よりも広い画像(首を動かさなければ全体を見る事は出来ない)スクリーンが必要

2. 前の人の頭が視野に入ると興ざめ

という事だ。

imaxシアターは客席の傾斜が急勾配になっているのでまず前の席の人の頭は目に入らない。

すごいワイドスクリーンで、首を動かさないと全画面を見る事は出来ない。

これで3Dを見ると思わず降って来る雪に手を出してみたり、自分に向かってくる機関車を避けたりする事になる。

西武のせいかどうかわからないが、日本ではimaxシアターのビジネスはあまり成功では無かったようで、品川、新宿、軽井沢の良く行っていたimaxシアターはすべて閉館になってしまったので残念だ。

電気量販店に行くと液晶テレビで3Dを盛んに宣伝しているけど、そういう理由で今のところ物欲が首をもたげない。限られたフレームの中での立体画像はしっくり来ないからだ。

3D新しい楽しみ方があるのかもしれないが、それに気がつくまではいろいろと試してみる毎日です。

ipadはオリーブみたいなもの

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今日、ラジオを聴いていたら、タイトルの「ipadは言ってみればオリーブみたいな感じですかね」というのを聞いて、なるほどと思いました。

日本人はかつてはオリーブなんていうものは知らなくて、オリーブを添えたりせずにサラダとかいろいろな料理を食べて、特に不満足では無かったわけですよね。

でも、オリーブを知ってしまって、オリーブを添えた料理を味わってしまった今、オリーブがついていないと、なんか物足りないと思ったり、味わいが無いと思ったり、オリーブがなきゃダメだと思ったりしますよね。

それでいて、おにぎりやみそ汁にオリーブを入れようと言う気にはならない。

かつてスティーブ ジョブズのipadの発表のプレゼンテーションで「ipadを作るにあたって、ipadが一番向いているタスクを考え、そのタスクを一番うまく出来るような装置を考えた」というような事を言っていて感心した記憶があります。

今までは携帯(iphoneを含め)が最適な装置ではないけれど携帯でやっていた事、あるいはパソコンが最適ではないがパソコンでやっていた事の中でipadの様な装置でやる事が一番いいというタスクをイメージしてあのサイズや重さや機能を決めて行ったわけです。

そして今、その装置であるipadが出て、ipadでそのタスクをやり始めたら、もう、そのタスクに関しては今まで通り携帯やパソコンでやるのはかったるいなと思い出すわけですよね。

そんなの携帯で充分出来るじゃん、とか、パソコンで出来るじゃんとか言っている人は、食わず嫌いってとこですかね。

ラムスの「良いデザイン10カ条」から想いをはせて

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Gizmodoで「良いデザイン10カ条」という記事がありました。

これは今はもう引退しているそうですが、あのブラウン社のインダストリーデザイナのディーター ラムスさんが掲げていたもので、奥の深い、なるほどと思わせるものです。

  1. 良いデザインは革新的である
  2. 良いデザインは製品を実用的にする
  3. 良いデザインは美的である
  4. 良いデザインは製品を理解しやすくしてくれる
  5. 良いデザインは出しゃばらない
  6. 良いデザインは誠実である
  7. 良いデザインは恒久的である
  8. 良いデザインは細部にいたるまで必然性がある
  9. 良いデザインは環境にやさしい
  10. 良いデザインは最低限のものである

どうですか。

原文はこれです。

Ten principles for good design

• Good design is innovative.
• Good design makes a product useful.
• Good design is aesthetic.
• Good design helps us to understand a product.
• Good design is unobtrusive.
• Good design is honest.
• Good design is durable.
• Good design is consequent to the last detail.
• Good design is concerned with the environment.
• Good design is as little design as possible.

私はソフトウェア業界に身を置いていますが、ハードウェアのみならず、ソフトウェアやシステムもこういったものも基準としてデザインしなければなと思いました。

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製品企画で陥りやすい3つの問題

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今回はちょっと真面目な話です。また、評論家的な話かなとも思いますが、思うままに…

私はハードウェアベンダーではないので直接今この問題に直面している訳ではありませんが、歴史を見ると次には我々SIerにも来るのかなと懸念をしています。

テクノロジーの進歩に引っ張られ、また今ではIT業界においてはスタンダードを取る事が勝ち組になる近道ということもあり、熾烈な新製品競争が繰り広げられています。

私の感じた今の新製品のあり方の問題点3点についてです。評論家みたいな話になってしまいますが、自分に対するメッセージも含めてまとめてみました。

1.スペック勝負

特に後発商品の場合にはどうしても競争優位性を出すためにスペック優位性を前面に出した商品になってしまいます。競合相手より10g軽い、3mm薄い、メモリーが1GB多い、CPUが速い、USBポートが2つ多い、立ち上がりが3秒速い、など大体の商品はこういったスペック勝負だと思います。

テクノロジーがニーズに追い付いていなくて遅かったり重かったりするけれど我慢していた創世記にはこういう技術競争を前面に出した製品計画も有かなと思いますが、オーバーシューティング現象の今は訴求ポイントは別のところにすべきかなと思います。

私の子供の時代には自動車の宣伝文句は常にエンジンの馬力だとか、0-400mの速さだとかが前面に出ていました。我々も、ちょっとでも馬力の高い自動車にあこがれたものです。しかし、昨今どの車種が何馬力なのかなんて誰も知らないし、興味もないですよね。これは自動車マーケット自体が成熟して、性能優位性から乗りやすさとか快適とかに移ってきているからだと思います。(最近はエコ関係でまたスペック勝負的な雰囲気はありますが)

我々の業界もそろそろスペック優位性を前面に出す時代は終わりではないでしょうかね。(もちろんそういう商品も出てきていますが)

2.差別化戦略

他社には無い何かを持つことにより優位性を出す。当然のアプローチだとも思います。

他社製品にはあって、自社製品には無いというものを追加してもそれは追従しているだけであって、優位性は出せない。その機能もユーザにとって必要な物であれば足さなければ「良い製品」にはなれないわけですが、やはり競争優位性を考えると、それによりは「他社にない機能」の付加を優先させる、あるいは、他社とは全く違うコンセプト商品を出して同じ土俵に乗らないようにする。

正しいアプローチの様な気もしますが、いつかマーケット(利用者)の存在が消えてしまう気がします。戦うべき相手との戦略重視で、マーケットや利用者の混乱に対する配慮が過少化してしまうのではないでしょうか。古くはベータとVHS、最近ではハイビジョン、インターネット放送、電子書籍などスタンダード争奪戦も同類の問題を秘めていると思います。

3.パラダイム延命商品

個人的には一番根が深いのはこれかなと思います。

特にIT業界では今、4番目の大きな波が来ており、ドラスティックなパラダイムシフトが起きつつあります。

こういう時期には技術革新も大いに重要ですが、使う側も考え方を今までの延長ではなく、ガラッと変えなければならず、この普及・定着のスピードが勝負となります。

勇気があり、クリエイティブな企業は新しいパラダイムを訴求するようなパブリシティーを行い、率先してパラダイムシフトをリードしながら商品を世に出して行きます。

しかし、比較的多いのは、「革新的な技術を今まで通りの使い方で使える」事を売りにしている商品です。たとえば、IP電話(最近ははやり言葉のせいか、IPセントレックス電話もVaaS(Voice as a Serviceと呼ばれたりしているそうですが)というのは今までの「アナログ音声で、独立したシステム」で行っていたものから比べると、他システムとの融合など、大きな可能性を秘めています。しかし、多くみられるのはIP-PBXの様に、テクノロジーはIP技術を使っているけれども、「使い方は今までのPBXと全く同じように使えますよ」というのを売りにしているものが多いような気がします。ソフトウェアの世界での技術的な話になってしまいますが、オブジェクト指向という概念を従来のサブルーチンの様に使えますなどとオブラートに包んでしまっているのも、設計者のパラダイムシフトを阻害していると言わざるを得ません。

マーケティングをするとおそらく、少なからぬ(マジョリティーと呼んでも良いくらいのボリュームかもしれませんが)マーケットニーズが上記のようなニーズだという事になってしまうし、利用者も受け容れ易いのである量は売れてしまうのでさらに性質が悪いかなと思います。

しかし、私は、これはパラダイム延命商品と呼び、パラダイムシフトが起きる事を阻害している、あるいは遅くしている効果しか無い商品だと思います。

新しい物を出し、新しい使い方を提案する商品を出すことは勇気がいるし、時間、根気、コストがかかる事だと思いますが、流れを読み、正しいアプローチをする企業でありたいと思います。

ちょっと理屈っぽくて長文になってしまいました。すみません。

オープンスタンダードこそがこれからのキーワード

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今回はちょっと硬い、ソフトウェアの話です。

今まではソフトウェアは多機能が良しとされてた傾向があります。

基幹業務のパッケージソフトウェアなども典型的な例で、すべての機能を備えていることが売りになっています。

したがって、プロモーションの仕方も、他社の製品に比べてどれだけ多機能なのかを○×表で比較して優位性をアピールします。

しかし、ここにきて、それぞれの分野が細分化されかつ高度化しているため、すべてのコンポーネントや機能で単体機能のものと比べて上回っているというのは困難になってきています。

さらに、クラウドコンピューティング、モバイルコンピューティング、他社のシステムとの接続など、コネクティビティーが高く要求されてきています。

コネクティビティーについても、従来はTCP/IPなどの様に通信プロトコルレベルでの接続性があれば良しとされていましたが、最近では、アプリケーション分野ごとのコンテンツのスタンダードフォーマットでのコネクティビティーが主流になろうとしてます。

従って、これから新しいソフトウェアシステムを設計するのであれば、すべてを備えたオールインワンパッケージを作るのではなく、自分のコアな分野のみを作り、それ以外は他のプロダクトに依存する作り方の方が賢明となります。

たとえば、iphone用に使いやすい会議室予約システムを作るとします。

今までであれば、一から設計を行い、そのシステムに必要な機能をすべて作成します。

大体、システムというのはあらかじめプリセットしておくようなマスターファイルというのと、都度のトランザクションを登録する入力機能、それらのを閲覧するための表示や帳票印刷機能が必要になります。定期的にたまっているデータをリセットしたり、中身を確認や保守する為のハウスキーピング系の機能も考えると、必要なプログラムは裕に10本を超えます。複数で情報共有する事を考えるとサーバーとの同期機能などさらに本数は拡大します。

これに使いやすさの為の検索機能や状態によって色分けする機能など、あるいはセキュリティーの為の認証機能などを加え出すと、システムはさらに肥大になっていきます。

ところが、たとえば、会議室予約のデータベースとしてiphoneにすでに備わっているカレンダー機能を使ったらどうでしょうか。

会議室が10部屋あるのであればカレンダーを色分けして10個作り、それぞれに利用者の権限を与えればそのままで使えます。

操作性を良くするために、予約入力は会議室リストから選んで予約したり、あいている会議室を選んで予約するなどで専用のプログラムを作った方が良いとは思いますが、その結果はiphoneのカレンダーに入れれば、そのメンテナンス、ホストとの同期はすでにそこにある仕組みを使えば良い事になります。

なによりもいいのは、iphoneが成長してiphoneOSのバージョンが上がった時、その新機能がすぐに使えるというところです。時代追従性を、常に追いかけて開発するんではなく、自動的に追従するようになります。

iphoneのカレンダーの場合はアップルよりカレンダーAPIというのが用意されているので、これを使ってプログラムを作成すれば良いだけです。

他の例では、プレゼンス機能を作る場合でも言えます。

プレゼンス機能とは、今自分がどこにいるとか、どういう状態か(忙しいのか暇なのか、移動中なのかなど)をメンバーで共有する機能ですが、これも一から作ると、メンバーのアカウント管理プログラムなど含めると2-30本以上のプログラム開発が必要です。

しかし、世の中にはすでにチャットなどプレゼンスを管理するしくみはあり、これらがJabberというオープンなスタンダードでオープンソースとして公開されています。

したがって、サーバー側の機能はJabberサーバーのソフトをそのまま使い、利用者側でステータスを設定したり閲覧するプログラムだけを作れば、業務に特化したプレゼンス機能のソフトが開発出来ます。

逆にクライアント機能は市販のものを使い、Jabberでクライアントとやり取りする、業務に特化したサーバーを開発するという手もあります。この場合は、利用者にはJabber対応であれば好きなiphoneアプリを自分で調達してくださいと言え、ソフトウェアの配布、操作教育などの心配から解放されます。

以上の様に何か新しいシステムを開発したいとき、一からすべて開発するのではなく、すでにあるポピュラーな機能を使う事によって大幅に開発工数や期間が短縮でき、作る量が少ない訳ですから品質も当然上がります。使う方にしても、上記のプレゼンス機能などの場合は使いなれたJabberクライアントを使えば良い訳で、操作法を新たに勉強する必要があります。

開発するソフトの本質に注力して開発出来るので、そのエッセンスの部分に関してはより競争力の高いものを作る事が出来るようになります。

唯一注意を払わなければならないのは、採用するオープンスタンダードの方式です。同じような機能を果たすのに複数の方式があります。これらのどれが本流でみんなが採用しているのか、今後も本流であり続けられるのかを見分けなければいけません。

残念ながら、一番すぐれたものが本流とは限らないというのがこのオープンの世界で、したがって、ISOやIEEEなどで定められたものが必ず本流とは限りません。デファクトスタンダードという言葉があるくらいで、この本流を正しく見極めて採用しないと、ただの亜流のソフトになってしまいます。

今のところ一番簡単な本流の見つけ方は業界をリードしているメーカーが採用しているスタンダードを選ぶことです。今までは、これはMicrosoftでしたが、今、まさにこれがGoogleやTwitterといったインターネット世代の企業に移りつつあります。

位置情報のKMLやGPX、同期情報のSyncML、書籍形式のePUB、IMのXMPP、twitterのTwitAPI、ポータルサイトのガジェットインターフェースであるポートレットなどコンテンツやアプリケーションレベルで多数あるので、この中から最適でかつ本流を選ばなければなります。(余談ですが、大体、このようなスタンダードは、かつてはプロトコルの”P”がついた、xxxPというものが多かったのですが、最近はXMLの普及に伴いコンテンツの構造に言及したxxxxMLとかxxxLといったネーミングが多くなってきたような気がします)

現時点で何よりも有力でかつ基盤となるオープンスタンダードはHTML5で、各ブラウザーベンダーも対応しだしているし、Flashなどを置き換える可能性もあり、また、Webベースでもオフライン運用が出来るなど、設計思想を大きく変える可能性があり、HTML5のスペックもさることながら、普及のペースも含めて要研究だと思います。

これらを実現する唯一の方法は常に世の中にアンテナを張って、早く、早く、対応をしていく事でしょう。

開発者の開発への取り組みも、まず、調査、勉強、評価、POC(Proof Of Concept)というプロセスが大事で、いきなり一から設計では高い生産性、保守性、時代追従性、弾力性は望めないという事になると思います。

技術者に求められる能力や、仕事のプロセス自体が大きく変わる(単に言語がVisual BasicからJavaに変わると言ったような話ではない)時期だと思います。

なんか大変な時代のような気がしますが、Good Newsは昔と違って、その勉強をしたり、自分でハンズオンしてみるのに、インターネットにすべてあるという事です。大金を払って講習会に出たり、サーバーや開発ソフトを買ったりする必要が無い訳ですから、すべての人に平等にチャンスがあるという事だと思います。(英語は出来なければダメかなと思いますが)

ライセンス料がいらないOSSに注目が集まっているようですが、私はこのオープンスタンダードこそが今後のキーワードだと思います。(もちろん、オープンスタンダードを使うにあたって、そのオープンソースが常にある訳で、利用する訳ですが、それはライセンス料節約とは目的が違いますよね)