新しい構造がちょっと見えたような気がします

標準

Flipboard、ReadItLater,Google Reader、NewsRack,iBook….

ipad,iphone,パソコンで動くソフト

最近は個々のサイトを訪問することは無くなり、上記のようなソフトを通して読んでいる。

従って、パソコンのブラウザーに登録されているインターネットサイトのブックマークは全く使われなくなった。

日々、これらのソフトを使っていて、いくつかの階層がある事に気がつく。

1.デバイス: ハードウェア層、物理的な装置で、ipad,iphone、PC、Mac、Androidなどなど。我々利用者からみるとその利用シーン毎に一番最適なものを選べば良く、「これ一つに決めた」という事は無い。

2.プラットフォーム: OS層. iphoneやipadでのiOS、Android、Windows、macのOSXなどなど。これらも我々利用者からみると直接的には関係ない。早いとか遅いとか、マルチタスクだとかそうでは無いとかあるけど、素人には選択肢の直接条件では無くなっている。

3.アプリケーション層: ここが冒頭に書いたようなリーダーソフトウェア。特徴的なのはこれらのソフトウェアはコンテンツプロバイダーというかニュースソースというか、いわゆる記事からは分離されている。これらのソフトはコンテンツを集めて見やすく表示する。あるいは表示しながら加工したり共有したりという、読んだ後のアクションの為の機能が用意されている事。利用者はこの層の機能については選択基準と照らし合わせて選ぶ。使いやすさ、コンテンツソースとの接続性、合目的かどうか(自分の使い道に合っているかどうか)などなど。

4.コンテンツ層: ニュースソース、雑誌の記事などのレイヤ。Flipboard,NewsRackなどに代表されるように、コンテンツとして、新聞社、情報サイトなどのいわゆるプロのコンテンツに加えて、ブログ、Twitter、Facebook、企業団体のRSSなども同列で扱われる。

こうして並べてみると、PC、インターネットの世界では特に目新しい話では無い。ブラウザーでインターネットサーフィンするのとほぼ同じ構造。

しかし、雑誌や新聞と言った既存メディアと比べるとどうだろう。基本的にはこれらのすべての層が垂直に統合されてひとつのソリッドな形にして売り物にしているのが雑誌、新聞だ。そして、もちろん、その為のプロフェッショナリズムを持ち合わせている。

今まではこれらは別物だったが、ipadの出現で「比べる」事になった。

私の注目したいのは、実は上記の層には書いていない新たな層。3番目と4番目の間。

なんという名前を付けて良いのかわからないが、例えばFlipboardの画面と雑誌や新聞の紙面を並べてみると一目了然。 レイアウト層、コンテンツリスト層とでもいうのでしょうかね。

私もあまり業界の中身はくわしくないのでいいかげんな話かもしれませんが、雑誌や新聞は、編集長以下、専門家が、雑誌にどんな記事を載せるか、それぞれの記事にどのくらいのスペースを割くか、どういう順番にするかをプロの目で決めてあの雑誌が出来あがっているのだと思う。

新聞の構成

雑誌の構成

Flipboardの構成

ReadItLater(Digest)の構成

NewsRackの構成

ところがFlipboardはどうだ。

私があらかじめ選んだジャンル、テクノロジーだとか、FacebokだとかTwitterの特定のリストだとか。それらが、Flipboardの場合は適当に(こういう言い方は失礼かも知れませんが、基本的には情報の重要度、緊急度に関係なく、あるアルゴリズムで)記事配置を決めているように見えます)

RSSやTwitterのコンテンツ(記事)の中に写真や動画が複数ある場合も適当にひとつふたつ選んで載せている。

パッと見た目には素敵な雑誌に見えちゃいます。それでいて良く見ると、バーナンキの世界経済の記事の隣に私のしょうもないつぶやきと写真が載っている。その隣には英語の記事、タイ語のつぶやき、ロシア語のつぶやきと。

FlipboardはPersonal Sicial Magazineという分野だと主張しているようですし、ReadItLaterはMyスクラップブックとういう分野でしょう。

試しに、先日当社に取材に来たマスコミのクルー(営業、記者、ライターカメラマン、デザインといっぱい来るんですね)の中に「レイアウトデザインを担当している」人もいたので、Flipboardの画面を見せて「これってどう思う?」と聞いてみました。

他のクルーからは「お前の仕事無くなっちゃうぞ」と冷やかされてましたが、私は逆の感触を得ました。

上記の階層でそれぞれが独立して成長、進化していくスタイルが新たな時代だとすると、このレイアウト層も独立したプロフェッショナリズムとして成り立つんじゃないかなと思います。

今のFlipboardの構成は物理的な配慮だけで行われたもの。また、一部パーソナライズという名の元に、自分でいろいろジャンルをあらかじめ設定することによりより見やすく、目的の物だけを集めるような事が出来ますが、出来ると言う事は裏を返せば「やらなければならない」。

DIMEやAERAというコンテンツ込みのものを商品にするのではなく、DIMEスタイル、CanCanフレーバー、Aeraコレクション、ニキータ セレクション、はたまた、Tanaka-tasteといった個人ブランドのものも含め、フレームワークを売りにする層がビジネスレイヤとなってもおかしくないかなと思いました。

いずれにしても新たなビジネスモデルに突入するのは間違いないでしょうが、購読者の払う100円がどのプレーヤーにいくら行くのかが重要でしょう。間違いなく1社総取りというモデルは無いんでしょうね。

(ちなみに、今、日本の出版業界でさかんに言われている米国の垂直統合ではなく水平分散という話は、これとは大きく視点が異なっている気がしてなりません。蛇足です)

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